李 粉善イ ブンソン

2007年の写真

ウチ(内)とソト(外)の
イリュージョン

ウチ(内)とソト(外)という境界を作る私は
時にはきっぱりと、厳しく、語らない人間でいたい。

それだから考える。
思考を繰り返し、いつの間にか、今ではあえて新しくも、
光を発することもできず、注目されることもない点となり、
線となって円で完成する。

ウチとソトの世界はいつも私をその中にいられなくさせる。
しかし、ためらいながらもとどまることを許す。
ウチにいた時にはソトもまたいた。
ソトが無い時にはウチもまた無い。
ウチが無くなるとソトもまた無くなる。

確かに近くて、時には遠く、生きてきたこの世界は、
どれもはじめから私には無かった世界。

私にはじっくりとたち止まり、眺める時間が必要だ。
作品を通して、ウチとソトを眺める。

いつの間にかウチとソトは前進してより進む。
お互いにぶつけ合い衝突しながらさまよう。
そして、新たな世界のとめ、何もない空間でひとつになる。
新しい出発、希望と可能性はウチとソトから
もはや始まったようだ。

李 粉 善


ARTIST HISTORY

1963年 韓国に生まれる

1989年 釜山の東亜大学校芸術大学を卒業

1993年 多摩美術大学大学院修士課程修了

東亜大学校等で非常勤講師を勤めながら、ファイバーアート作家として活動。

2006年 4月より九州大学大学院芸術工学府博士後課程にて『空間構成要素としての「布」観の変容に関する研究』をテーマに研究を行っている。

8月には大分県日田市三隈川「水面の盆」イベントに参加、三隈川の遊船に花をテーマにした布の作品を施す「結繊花(ゆうせんか)プロジェクト」を行った。

個展7回、二人展4回、100人100点展(福井)、境界解体と拡張展(釜山)、世界女流作家7人展(福井)、感性伝達芸術運動展(釜山)、繊維の力(北京)、意向する繊維(東京)、Busan International Fiber-Fashon Art (釜山)、国際アートフェアー(ソウル)、SHIBORI-TEXTILE CATALYSYS触発と異層(東京)他、 国際展、グループ展、団体展多数。

2007年 1月福岡アジア美術館をはじめ岡山のギャラリーテトラヘドロン、東京のギャラリーブロッケンでの巡回展に至る。

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